1970年レコーディングの「黒馬のマンボ」
私は4歳の頃からペレス・プラードの音楽を聴き始めました。両親が持っていた「マンボ・ジャンボ/ペレス・プラード」というレコードが家にあったのがきっかけです。
このアルバムの中に「黒馬のマンボ」という曲が収録されており、これが一番のお気に入りでした。
毎日「黒馬のマンボ」を聴きまくり、どんどんペレス・プラードのマンボにのめりこみました。
曲の最初からドラムとコンガがトコトコトントンと鳴り始め、キレの良いサックスに、派手なトランペットが鳴り響くペレス・プラードの傑作です。
私は、曲の頭のドラムとコンガの音が鳴り響き、回転する波打つレコードにレコード針が吸い込まれていく様子が大好きで、夢中になりました。
幼少の頃の大好きな曲は、「黒馬のマンボ」。
幼少の頃に聞くような童謡や流行りの歌には興味がない、変わった子供だったかもしれません。
さて、この「黒馬のマンボ」はペレス・プラード自身の作曲で1952年に初めてレコーディングされたペレス・プラード初期の傑作で、マンボ・バティリという形式です。
マンボ・バティリとは、パーカッションが活躍するスタイルのことで、「黒馬のマンボ」の他にも「問答無用」(ペレス・プラード作曲で1951年に初レコーディング)などがあります。
「黒い馬よ、お前は白い尾を持っている」というユニークなコーラスが入る、まさにペレス・プラードがノリに乗っていた頃の素晴らしい作品です。
冒頭にお話しした私のお気に入りの「黒馬のマンボ」は、1970年12月1日に日本ビクターのスタジオでレコーディングされたものです。
当時、日本ビクターはCD-4というオーディオシステムを開発しました。これまでのような2つのスピーカーで音楽を楽しむスタイルではなく、4つのスピーカからそれぞれの楽器の音が出るというもの。左のスピーカーからはサックス、右のスピーカーからはトランペットという感じです。
今でいうサラウンドスピーカーの先駆けでしょうか。
日本ビクターは、このCD-4システムが最大限に楽しめるよう、海外の名だたるアーティストの楽曲をこのシステム用にレコーディングしました。
「マンボ・ジャンボ/ペレス・プラード」のレコードは、「黒馬のマンボ」も素晴らしいですが、この他にも「ケ・リコ・エル・マンボ(マンボ・ジャンボ)」、「マンボ・パチューコ」、「マンボ・ネグロ」や「エルクンバン・チェロ」など、とても素晴らしい演奏が録音されています。
ちなみに有名な「マンボNo.5」はなぜか収録されておらず、私が「マンボNO.5」はペレス・プラードの作品であるということを知るのは、小学校高学年になってからでした~